イタリア旅行記1〜旅の準備〜

昨年の冬ごろ、夫婦で「海外旅行に行こうか」と話す。結婚してから5年間、お金も無かったし、コロナもあったので、国内旅行はちょこちょこと行っていたけれど、海外は一度も行っていなかった。よし、じゃあ行ってみよう。さて、どこに行こうか?

 

一番最初に出てきたキーワードは「ヨーロッパ」。パンが大好きな妻としては、やはりヨーロッパのパン文化に触れたいという思いがあるようだ。ちょうど、私には、その頃読んでいた本がある。『世界中から人が押し寄せる小さな村〜新時代の観光の哲学〜』(島村菜津著) だ。

 

イタリアの小さな農村で、古い朽ち果てていく民家を宿として再生し、その風景を保全していく人々の姿を紹介したものだ。たまたま本屋で手に取り、表紙の風景が気に入り、購入した。その本の影響もあって、「ヨーロッパに行くなら、イタリアに行ってみたいな」そう妻に話すと、じゃあイタリアにしようと決まった。

 

上記の経緯から、今回の旅のテーマは、「パン」と「農泊」という二つが軸になりそうだなと思っていた。妻がイタリアに行くことを、職場に共有し、2週間の休暇をいただくことをお願いすると、子ども園の理事長が、「おすすめを紹介するから、一度遊びにおいで」と声をかけてくださった。

 

理事長の N先生は、大変に博識で、お話が面白い。N先生は、息をするかのように学んでいる人だ。本を読んだり、勉強会を主催したり、旅をしたり、人と話をしたり、実践したり・・・。私が学生時代の時から、多くの学びのチャンスをくれていて、夫婦ともども、いつもお世話になっている。

 

さて、N先生にお話をしに行くと、2冊の本を紹介してくれた。『スローフードの奇跡』(カルロ・ペトリーニ著)『イタリアのテリトーリオ戦略』。「この2冊の本にある哲学は、これからの社会を生きていくうえで重要なエッセンスになるから、それをぜひ感じてきてほしいな」そんな言葉をくださった。

旅は、3月30日〜4月11日の13日間。うち4日間は移動に費やすため、イタリアで過ごせる時間は9日間だ。その9日間の使い方を巡って、夫婦で、やんややんやとアイデアを出す。何せ、初めてのイタリア。ここにも行きたい、ここにも行ってみたい。でもどちらもは選べない。さあどうしようと、思案している間に、出発の日が迫ってくる。

 

友人の助言も得ながら、最後はええい、と、今回の旅の最初の拠点は、フィレンツェにしようと決めた。ミラノに着いたら、フィレンツェへ移動し、その周辺で4日間過ごすプランを組む。その後は未定だ。着いてから、決める。さて、人生で初のヨーロッパ。どんな旅になるだろう、どんな出会いがあるだろう?