イタリア旅行記7〜サイクリングで出会った街〜

 

宿から、丘のうえの街を目指したサイクリングは格別の体験だった。細い小道を駆け抜けて、坂道で自転車を押して歩いて。そして出会った風景。見渡す限りのブドウ畑。長い時間をかけて、人と自然がおりなして作り上げた景色を前に、ただ感動する。

 

街の名前は、「モンテスペルトリ」というらしい。運の良いことに、週に2回開かれるマーケットの日だった。たくさんの人が広場に集まり、何台ものトラックが店を構えて、活気がある。服屋さん、靴屋さん、パン屋さん、肉屋さん、惣菜屋さん、魚屋さんなど、多種多様なお店が開かれている。

 

こんなふうに、大きな肉の塊に、ぶすぶすと値札が刺さり、販売されている。みるからに、熟成されていて、旨そうだ。イタリア語は全然わからないので、優しそうなお店の店主を見つけて、身振り手振り、イタリア語の単語帳を片手に、注文をする。店主は、急かさずに待ってくれて、最後まで聞いてくれた。そして、後から来たお客さんも、優しく待ってくれる。

 

そして、ハムを初めて買うことが出来た。嬉しい。道のベンチに座って、つまみ食い。美味しい。さらに、チーズも買い足して、お昼ご飯。

パンがとても分厚い。肉屋さんで売ってもらったフォカッチャ。サービスをしてくれて、少しまけてもらった。食べたら、小麦の香りがしっかりとしている。ハムやチーズと合う。

 

 

そのあと、バスのチケットを買いたくて、チケットを購入できる場所を探した。結果、タバコ屋さんで買えることがわかった。しかし、ちょうどお昼休憩に入っていて、次に開くのは、15時から。私たちは、街をぶらぶらしながら、待つ。トイレに行きたくなって、役所のトイレを借りたのだけれど、想像を絶する汚さだった。笑 日本のトイレの常識は、ここでは通用しない。

 

待っている間、広場のベンチに座って、ぼーっとする。他にもぼーっとしているおじいちゃんがいたり、鳩を追いかけ回す子どもがいたり、おしゃべりするおばちゃんたちもいれば、ジェラートを買いに来る人がいる。広場にはそれぞれの過ごし方があるようだ。

 

タバコ屋が、15時15分ごろ開いた。待っている人たちはけっこう居て、みなタバコ屋に吸い込まれていく。私たちも入って、チケットを注文。無事にフィレンツェまでの切符を買うことができた。

 

来た道と同じ道を、また自転車で戻っていく。美しい風景はまたわたしたちを出迎えてくれる。本当に綺麗だ。

 

宿に到着すると、ワンコが出迎えてくれた。今日のディナーを準備する食堂から、良い匂いが漂ってくる。